-
最近の投稿
アーカイブ
カテゴリー
投稿日カレンダー

株式会社ツヤヤカの床ずれの潤、通称とこじゅんです。
8年間のニート生活を終え、建築業界へ入りました。
現在は会社のホームページでブログを書いていますが、以前は室内リフォームの現場にも出ていました。
これは、僕がまだ現場にいたころの話です。
現場では、普段の生活と少し違う意味で使われる言葉があります。
その一つが「逃げる」です。
僕は、たーなさんからこう言われました。
「とこじゅん、そこ5ミリ逃げて納めて」
逃げろと言われました。
現場から追い出される前に、自分で逃げることにしました。
「5ミリ逃げて」と言われた
その日は、室内リフォームの現場で作業をしていました。
たーなさんは施工部の部長で、緑色の髪をした職人です。
少し無精ひげがあります。
緑の髪でも、ちゃんとかっこいい人です。
たーなさんは施工箇所を指さして、落ち着いた声で言いました。
「そこ、5ミリ逃げて納めて」
僕の耳には、「5ミリ」と「逃げて」だけが残りました。
5ミリしか逃げてはいけないのか。
5ミリ逃げたところで、まだ現場の中です。
それとも、5ミリは何かの暗号なのか。
質問すればよかったのですが、現場に入りたての僕は「そんなことも知らないのか」と思われるのが怖くて聞けませんでした。
分からないまま考えました。
考えても分かりませんでした。
そして、走りました。
本当に現場から逃げた
気づいたときには、僕は現場の外にいました。
5ミリどころではありません。
数百メートルは逃げています。
僕がいなくなった室内では、たーなさんとしゃちょーが探していました。
「とこじゅん、どこ行った?」
「さっき全力で外に走ってったぞ」
しゃちょーは坊主頭で、眉毛をそっていて、ひげ面です。
何もしていなくても怖い顔をしています。
僕は、怖い顔のしゃちょーに何か怒られると思ったわけではありません。
建築用語を、そのまま受け取っただけです。
結果として、いちばん怒られそうな行動になりました。
建築用語の「逃げる」とは
建築や内装工事で使われる「逃げる」や「逃げを取る」は、人がその場から走って離れることではありません。
部材同士がぶつからないように間隔を空けたり、施工しやすいように寸法へ余裕を持たせたりすることを指します。
たとえば、壁、床、天井、建具、造作材、設備などを納めるとき、図面上の寸法どおりに作っても現場ではぴったり合わない場合があります。
建物には、わずかな傾きや凹凸があります。
材料にも厚みや寸法のばらつきがあります。
ほかの部材との取り合いや、施工するためのスペースも考えなければなりません。
そこで、必要に応じて数ミリの余裕や隙間を設けます。
これを現場で「逃げ」と呼ぶことがあります。
今回の「5ミリ逃げて」は、指定された位置や部材から5ミリ分の間隔を取り、納まりを調整するという意味でした。
僕だけが、現場との間隔を数百メートル取りました。
「納める」も建築現場でよく聞く言葉
たーなさんの指示には、もう一つ現場らしい言葉が入っています。
「納める」です。
建築現場でいう納まりは、部材同士の接続部分や仕上がりの状態を指します。
見た目がきれいか。
隙間や段差に問題がないか。
ドアや設備が正しく動くか。
周囲の壁、床、天井と無理なく取り合っているか。
図面だけでなく、実際の現場を見ながら調整することもあります。
「5ミリ逃げて納める」は、ただ隙間を作ればよいという話ではありません。
仕上がりや周囲との関係を考え、必要な余裕を確保したうえで施工するという指示です。
僕は納まりを考える前に、自分を現場の外へ納めました。
内装工事では数ミリが大切
5ミリと聞くと、小さな差に感じます。
しかし、室内の仕上げでは数ミリの違いが見た目や使いやすさに影響することがあります。
建具が壁や床へ当たらず動くか
見切り材や巾木がきれいに納まるか
設備や器具を取り付ける余裕があるか
床材や壁材の端部を適切に仕上げられるか
周囲の部材と不自然な段差ができないか
ただし、必要な逃げ寸法は、施工する場所、材料、工法、図面、メーカーの施工要領などによって異なります。
いつでも5ミリ空ければよいわけではありません。
現場ごとの指示を確認することが大切です。
分からない現場用語は、その場で確認する
現場に入りたてのころは、知らない言葉が次々に出てきます。
職人さん同士には当たり前の言葉でも、新人には意味が分かりません。
分からないまま作業を進めると、やり直しや材料のロスにつながる可能性があります。
次のように、短く確認するだけでも誤解を防げます。
「5ミリ逃げるというのは、ここから5ミリ空ける意味で合っていますか?」
可能であれば、指を差しながら基準となる位置も確認します。
図面や現物を見せてもらい、どこからどこまでの5ミリなのかを確かめます。
現場では、聞かずに間違えるより、作業前に確認したほうが安全です。
僕も、その場で一言聞けばよかったと思います。
少なくとも、走る前には確認するべきでした。
現場用語は会社や職種で違うことがある
建築現場の言葉は、地域、会社、職種、職人さんによって使い方が少し異なる場合があります。
同じ「逃げ」という言葉でも、何から距離を取るのか、どの方向へ逃がすのか、どれくらい寸法を取るのかは状況によって変わります。
言葉だけで判断せず、図面、現場の状態、施工要領、担当者の指示を合わせて確認します。
新人のうちは、聞き返すことに緊張します。
僕も緊張しました。
その結果、現場からいなくなりました。
聞き返す時間は数秒です。
いなくなった新人を探す時間は、それより長くなります。
株式会社ツヤヤカについて
株式会社ツヤヤカでは、住宅、賃貸物件、店舗、事務所などの室内リフォーム、リノベーション、原状回復工事をご相談いただけます。
クロスの張替え
CFやフロアタイルなどの床施工
設備の交換・修理
大工工事、建具補修
退去後の原状回復工事
主に室内の工事を中心に、壁、床、天井、建具、設備などのお困りごとへ対応しています。
現場の状態を確認し、必要な施工内容や納まりを検討します。
室内で気になる場所がありましたら、お気軽にご相談ください。
見積もりは無料です。
お問い合わせいただいても、現場から逃げることはありません。
僕は現在ブログ担当なので、たぶん大丈夫です。
今日のとこじゅん
建築用語は、たまに新人を現場から逃がす。
「逃げる」は、部材や寸法に余裕を持たせることでした。
人間が全力疾走する必要はありません。
現場にいたころの僕は、専門用語を知らないまま自分で判断していました。
分からないことは、作業する前に確認する。
逃げる前にも確認する。
これが、今回の反省です。